ひまわり月報3月 結婚する?離婚する?
- 慎也 齋藤
- 2022年3月20日
- 読了時間: 2分
岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。
離婚どころか、結婚したことも、結婚する予定もまったくない私の検討では役者不足な気もしますが、今回は結婚と離婚について検討します。
離婚について相談を受けることがよくありますが、離婚も結婚と同様、『離婚したい!』⇒『離婚する!』というように簡単なものでないことにご注意ください。
結婚の場合は、皆さんも、『結婚したい!』⇒『結婚する!』と簡単なものではないことご存じのようです。婚姻は、「届け出ることによって・・・効力を生ずる」とされますが、「当事者間に婚姻をする意思がないとき」は無効とされています。すなわち、2人が『結婚したい!』⇒『結婚する!』という意思を持っていなければ結婚できません。
離婚の場合も、2人が『離婚したい!』⇒『離婚する!』という意思を持っていれば離婚できます。結婚と同じように、2人で届出をすれば原則として離婚が成立します。
ただ、夫婦の一方だけが『離婚したい!』というときは、ハードルがとても高くなります。ただ、結婚のときと異なり『2人でなければ絶対にできない!』わけではありません。『もう夫婦としての実態がない』と言えれば離婚できます。
では、どのようなときに、『夫婦としての実態がない』と言えるのでしょうか?裁判所は「夫婦としての実態がない(婚姻関係の破綻)」となかなか認めません。例えば、夫が「口論した挙句、殴打し足蹴にするなどの暴行を加え、加療約10日見込みの傷害を負わせた」という事案でも、「同情の余地がないとはいえない」「別居後3年に満たない」「夫は婚姻の継続を強く希望している」として破綻を認めません(千葉地裁)。「怒鳴りながら手元の物を叩くなどの暴言暴力やモラルハラスメントにより妻がめまいで緊急搬送された」「全般性不安障害と診断を受けた」という事案でも、「いずれも、生活・考え方の違いや感情・言葉の行き違いに端を発するもの」なので「夫だけが責任を負うものではない」「夫は妻との関係修復を強く望んでいる」「別居期間が約3年5か月と短い」として破綻を認めません(東京家裁)。どちらも控訴審(東京高裁)では、長く裁判したので別居期間も長くなり破綻が認められましたが、DVがある事案でもここまで争わなければいけないのですから大変です。モラルハラスメントだけでは、もっと大変です。
「結婚」や「離婚」だけが人生ではないので、あまり難しく考えることもどうかと思いますが、どちらもあなたの人生にとって重要なイベントです。慎重に対応することが肝心です。
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