ひまわり月報1月 不動産あれこれ
- 慎也 齋藤
- 2024年2月9日
- 読了時間: 4分
岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。
不動産についてのご相談をいただくことがよくあります。今回は、不動産のご質問あれこれについて解説いたします。
第1 誰の建物かわかりません!
「隣の建物が倒れてきそうです!」「隣の土地が空いているから使いたい!」
「ただ、誰の建物(土地)かわかりません!」という相談は、よく寄せられます。
土地や建物が誰のものかわからないときは、まず、法務局でその土地や建物の登記事
項証明書(登記)を確認します。登記の権利部に所有者として記載されている人が、そ
の土地や建物の所有者である可能性が高いです。登記は、その内容を確認するだけであ
れば、インターネットでも可能です。
ただ、登記の権利部に所有者とされている人に連絡をしようとしても、亡くなってい
たり、引っ越していたりする場合があります。自分の権利のためと言えるようなとき
は、弁護士に頼んで住民票や戸籍を調べてもらうことができます。上の例で言えば、
「隣の建物が倒れてきそうです!」ならいけそうです。ただ、「隣の土地が空いている
から使いたい!」では、何か権利があるわけではないので難しいです。
このようなときは、自分で、登記に記載された所有者の住所に行ってみて、近所の人
に「こんな人いませんか?」と聞いて回るとか地道な方法しかありません。
第2 相続したままほうっておいていいですか?
相続登記が義務化されました。ただ、自分が相続したことを法務局に届け出れば、し
ばらくは大丈夫です。相続したらすぐに相続した人の間で、「どのようにわけるか」決
めることまで義務になったわけではありません。
ただ、相続した土地(建物)を誰の土地(建物)にするか決めないでおくことは、た
いへん危険なのでお勧めしません。
相続人が数人いるとき、相続財産は、その相続人数人の共有(共同での所有)となり
ます。建物を点検するとか、直すとかは1人でもできます。建物を処分したり変更した
りする場合、「古くなってきたから壊したい!」「必要ないので売りたい!」という場
合は、相続人全員の同意が必要です。仲が悪くても、みんな元気で近くにいればまだい
いです。亡くなった人がいれば、その相続人が共有に加わります。どんどん人が増えま
す。すべての相続人の所在を調査することが基本ですが、いくら調査しても所在不明の
人がいるときは、裁判所にその人に代わって判断する人を選んでもらわなければなりま
せん。認知症とかで判断ができない人についても代わって判断する人を裁判所に選んで
もらわなければなりません。
確実に話ができるうち、相続が開始してすぐに、「どのようにわけるか」まで決めて
書面に残しておくことをお勧めします。
第3 自分の土地なのに人に使わせてあげないといけないの?
自分の土地は、自由に使うことも処分することもできることが基本です。ただ、他の
人の使用を認めなければいけない場合もあります。
例えば、袋地と言われる道路に接していない土地があります。そのような袋地は、そ
の土地だけでは外に出ることもできないので、その土地に住んでいる人に「一生その土
地から出てくるな!」とも言えないので、周りの土地の人に「外に出るために通らせて
ください!」という権利が認められています。ただ、周りの土地の人にとって「損害が
最も少ないもの」でなければならないとされています。
この頃、「他人の土地に水道管を通したい!」という相談も受けます。明確な法律の
規定があるわけではありませんが、裁判所では、袋地の場合と同じで、人の土地に通す
しか方法がなく、「最も損害の少ない場所及び損害が少ない方法」であれば認めるとい
う考えのようです。
第4 購入を検討している土地に仮差押えがあります!抵当権があります!買戻特約があり
ます!
基本的には、購入する前に、仮差押えも、抵当権も、買戻特約も、消してもらってか
ら購入するようにしてください。購入してから消すことはたいへんです。
仮差押えも、抵当権も、買戻特約も、登記に権利を持っている人が記載されていま
す。その権利を持っている人が「消しても構わない」として協力してくれるのであれば
消すことができます。ただ、しばらく前の仮差押え、抵当権、買戻特約だと、権利を持
っている人と連絡がつかないことも多いです。権利の根拠が無くなっているとして裁判
で消してもらうことも不可能ではありませんが、裁判まで起こさなければいけない可能
性もあることを考慮してご購入ください。
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